このマンガのレビュー
時に「悲壮」とも感じさせる過度な真摯さを観客から求められがちなスポーツの世界。あくまで教育の一環とされる高校野球ではなおさらだ。そのため、世間の固定観念を撹乱しひっくり返すことに長けたマンガというメディアでは、真摯に競技に取り組む選手の悲壮さはしばしば格好のネタになる。あえてその逆を行ってみせるのだ。本作は、万年敗退の弱小チームに斬新な発想の新監督が現れて…という、「がんばれ!ベアーズ」的な成長物語を連想させる舞台設定で、悲壮とは無縁な朗らかさと暢気さを追求。とは言えちゃんと成長しているし、けっこう勝ち進むし、これはこれで「青春」として美しいのである。 表 智之