野球

遥かなる甲子園

原作:戸部 良也、マンガ:山本 おさむ
双葉社
聴覚障害の少年たちが困難を乗り越え、野球に青春をぶつける

このマンガのレビュー

福里ろう学校で硬式野球部を作り甲子園を目指す聴覚障害を持つ少年たちが主人公。野球憲章と事なかれ主義に阻まれ、高等学校野球連盟に加入することさえ許されない理不尽と闘う姿が熱くていねいに描かれる。登場人物に感情移入させるパワーが凄くて、選手たちと一緒に闘い怒り泣き、聞こえないはずの甲子園の歓声が聞こえてくる。六年かけて取材し書かれたノンフィクション『遥かなる甲子園』(戸部良也/双葉社)をもとにフィクションとして再構築した傑作。初めて読んだときは泣き疲れるぐらいに泣いてしまった。今回、再読して、やはり涙が止まらなかった。 米光 一成

障がい者が世間で生きることの困難さや、沖縄に残る米軍基地がもたらす影響など、今日も日本社会に残る差別や無関心の問題を訴える作品です。6年にわたる取材をもとにドキュメンタリー作品として作られた原作を元に、甲子園出場を目指す子どもたちとその周囲の大人たちの人間ドラマが球児たちの目線から描かれていて、どうしようもない辛い現実に身につまされる思いで読みました。どちらか一方が悪役というわけではないけれど、不平等と不公平は我慢を強いられている側でしか気づくことができないと改めて感じました。こういった作品を通して、多様性を受け入れることを、表面的な共感だけではない行動に繋がるきっかけになってほしいです。 そふえ

主催
助成