競馬マンガといえばレースが中心になる作品がほとんどだが、このマンガは牧場とそこで繰り広げられる人間模様がメインというひと味変わった視点。それをゆうきまさみ先生が描くのだから、面白くないはずがない。主軸は、都内の進学校に通う主人公・久世駿平がひょんなことから北海道の牧場で働くことになり、仕事や恋愛、親との葛藤などを経て成長していく『銀の匙』にも通じるストーリー。一頭の競走馬がどれだけの想いを背負って走っているのかが、調教師、騎手、馬主など様々な人の視点から描かれていて、競馬の入門書としても名作である。松田 健