一般的なスポーツ漫画の爽やかなイメージとは異なり、個人競技でトップを目指す「苦しさ」を強く感じる作品です。100メートルを走るわずか10数秒間という"一瞬"にここまで哲学的な心情を盛り込み、語らせるのはとても魚豊先生らしい。デビュー作ということもあり絵はやや荒いように見えますが、それもまたテーマに合っていて、作品の疾走感が増しています。萬田 大作