体操・新体操
ガンバ!Fly High
- 原作:森末 慎二、作画:菊田 洋之
- 小学館
採点競技が持っている本質的なジレンマに踏み込んだストーリーは、金メダリスト森末慎二が原案なればこその不朽の名作。すばらしい演技だから高い点数がつくはずなのに、いつの間にか高い点数がつく演技こそすばらしいという価値観に逆転してしまう矛盾は、あらゆる採点競技についてまわります。そこに、“楽しい体操”という極めてシンプルな価値観を大切にすることの重要性が無理なく描かれていて、それがまったくお説教臭くないのが本当にすごいマンガです。
帯ギュを読むと強くなるんです。本当に。高校時代柔道部だった私にとってバイブルでした。作者の河合克敏先生が柔道経験者ということもあって、才能に恵まれているわけではない選手が勝つために積み重ねる努力や作戦が、すごく現実的に描かれているのです。考えて適切な努力をするからこそ強くなるということを学べるマンガです。
根性論の象徴としての野球部へのアンチテーゼマンガの名作。ちょうど連載中に、実際に極めて近い理論での練習を実践した東大合格者日本一で有名な開成高校の野球部が、東東京大会ベスト16まで勝ち進んだのが印象的でした。野球は、極めて多様な要素を含んでいる競技であること、ゆえに様々な向き合い方があってしかるべきことを、しみじみと考えさせられます。マンガは物事を単純化することで分かりやすくすることも多いですが、むしろ野球が多面的に見えてきて、なおかつ理解も深まっておもしろいのが本当にすごいマンガだと思います。
カバディって熱いスポーツだ!体力・気力・頭脳を駆使して勝利せよ
ルールどころか、実際に行われている様子を一度も見たことがない競技のマンガがこんなにおもしろいなんて!本当に衝撃でした。へんてこりんなスポーツとしてネタになることが多かったカバディなので、その対極であるところの“熱血”という要素をさらに過剰にした“灼熱”を組み合わせただけの出オチ最大瞬間風速マンガだと侮って読み始める方が多いと思うのです。それをいい意味で見事に裏切る、カバディというスポーツの奥深さと熱さ!主人公と一緒にカバディにハマっていく自分を見つけること間違いありません。
緻密に描くテニスマンガ、真面目な主人公が一歩一歩ステップアップ!
スポーツ選手における“理論派”というものを、これほど説得力をもって描ききった作品は他にありません。大抵のスポーツマンガの理論派キャラは、眼鏡をかけてコンピューターをいじっていてモテないものですが、主人公のエーちゃんは、眼鏡もかけていなくてひたすら紙のノートに書きまくってヒロインとあっという間につきあってしまいます。そういう安易な記号を一切排して、平均的な身体能力の選手がデータ分析能力の高さを強みとして考え抜いて試合に勝つとはどういうことかをきっちり描くマンガです。