「才能」と向き合って自分を知って道を拓く青春群像劇
中学の部活は卓球部でした。補欠の補欠でしたが、この作品を読んだ時に「この動きこそ卓球だ」と息を呑みました。ボールの動きやキュッ!というシューズの音にも痺れました。主人公とライバルたちの成長物語としても名作だったと思います。
クライミング・登山
岳人列伝
- 村上 もとか
- 小学館
山岳マンガの金字塔!山々の過酷さ、残酷さをリアルに描く
オムニバス形式で歴史に名を残したクライマーたちのドラマを追った短編シリーズ。せいぜい山歩き程度のことしかできない私にとって、感動を教えてくれた山岳マンガです。有名クライマーではなく、シェルパの少年の成長を描いた「裸足の壁」が一番好きなのではありますが・・・。
腰掛けのつもりで女性教師になった主人公が弱小ラグビー部を花園に連れて行くというストーリーはそれほど新しくないのですが、トレーニングや作戦の立て方など、知的スポーツとしての側面をうまく引き出した作品です。作者の取材力の賜物だと思います。ラストシーンは本気で泣きました。
この時代のマンガに出てくる自動車はおもちゃみたいなものばかりだったのに、本物っぽいしっかりした自動車が登場したのにびっくりしました。自動車が速さを競うだけのスポーツだと思っていましたが、本作ではじめてレースの駆け引きなどを知り、モータースポーツに興味を持つようになりました。今読んでも結構リアルなのです。
格闘
チャンピオン太
- 原作:梶原一騎、画:吉田竜夫
- 講談社
- 週刊少年マガジン
大人気だった国民的ヒーロー・力道山が作中のレギュラーとして登場するというだけでも心躍らされたものです。プロレスマンガとしても本格的で、梶原一騎と吉田竜夫のタッグコンビも見事でした。当時、小学校3年でしたが、なぜか「太」を「ふとし」と読めなくて「ちゃんぴおんた」だと思い込んでいました。
野球
黒い秘密兵器
- 作画:一峰大二、原作:福本和也
- グループ・ゼロ
数ある魔球マンガの中でも最高傑作と呼べるでしょう。忍者がプロ野球に入るという設定もさることながら、つぎつぎに繰り出される魔球に夢中になりました。原作の福本和也さんは航空小説でも多くの作があり、魔球にも空力理論を交えていて、不思議なリアリティがありました。ライバルや巨人軍の選手たちとの人間ドラマもおもしろかった。
フィギュアスケート
愛のアランフェス
- 槇村 さとる
- 集英社
- マーガレットコミックス
おそらく本邦の本格フィギュアマンガではないでしょうか? デススパイラルなどの技はこのマンガで覚えたと思います。バレエマンガにも通じるような華麗さとスポーツマンガの力強さが良い塩梅で混じりあった作品だと思います。
恵まれた資質を持った主人公がストイックに戦うのではなく、チビでお調子者の主人公が活躍するバスケマンガです。スポーツは誰にとっても楽しいものだ、と教えてくれた作品です。つぎつぎに編み出す必殺技もおもしろかった。後半、やや路線変更してしまったのが残念、と言えば残念。
ボクシング
がんばれ元気
- 小山 ゆう
- 小学館
- 少年サンデーコミックス
『あしたのジョー』の対極として描かれたボクシングマンガです。スポーツ根性物の凄惨なトレーニングや主人公がライバルの死を乗り越えていく姿ではなく、主人公・元気がボクシングを通して人間として成長していく姿を描いたところに惹かれました。
寺田ヒロオの柔道マンガは、勝敗よりも柔道家としての正しい心の持ち方を少年・少女に伝えるという意図のもとに描かれています。本作では卑怯なライバルの罠にはまり、視力と記憶を亡くした柔道家を通して、他人への感謝と思いやりこそが強さなのだと教えてくれる素晴らしい作品です。