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山辺 哲識

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©稲垣理一郎・村田雄介/集英社
その他

アイシールド21

原作:稲垣 理一郎、作画:村田 雄介
集英社
「一芸」がチームになれば活躍できる。アメフトの魅力を描いた傑作
アメフトというマイナーなスポーツを題材にしながら、約7年間連載されアニメ化もされた大ヒット漫画。読者のほとんどがルールを知らず、試合を見たこともないことを前提にしたスタイルは極めて特殊で、作中にも度々ルールの説明が挟まれ、おそらく試合展開を分かりやすくするために、登場する人物やチームには一つのコンセプトに特化したものが多い。アメリカの4大スポーツの1つであるアメフトには当然スポーツとしての奥深さと醍醐味があるが、ルールが極めて複雑なので、実際の試合を観戦する前の教本として是非お勧めしたい。
©古舘春一/集英社
バレーボール

ハイキュー!!

古舘 春一
集英社
圧巻の臨場感!キャラも魅力的な大人気バレーボールマンガ
宮城県の烏野高校が全国制覇を目指す高校バレーボールの青春スポーツ漫画。多様な視点や画角、コマ割りと一体化した描き文字、強いコントラスト等、バレーボールのコートの空間や時間の流れを表現するための様々な表現が使われており、とてつもない没入感がある。また、中学・高校でバレーボール部に所属していた作者自身の経験が活かされているのか、選手の苦しさ、悔しさ、喜び等に深いリアリティを感じさせる。特に、予選で早々に敗退するチームと選手に焦点を当てた回(第40話)は必読。稲荷崎高校と対戦した春高全国大会2回戦は、因縁の相手(音駒高校)の前に組まれた強豪校との対戦で、バレーボールのスポーツとしての醍醐味に全表現力が注ぎ込まれており、作中のベストマッチの一つ。
バスケットボール

DEAR BOYS

八神 ひろき
講談社
1989年の連載開始は、『SLAM DUNK』よりも前。単行本はシリーズ全体で80巻を超え、現在も連載中。部内のトラブルで休部状態だった瑞穂高校が、転校生の主人公が加入することで、絆と活力を取り戻し才能を開花させていく物語。ディフェンスシステムや戦術が綿密に描写されており、特に秋田城北高校と対戦したインターハイ準決勝は、バスケットボールの戦術的娯楽性を極めた好試合で必読。なお、スポーツ漫画の展開で因縁の相手の前に強豪校との対戦が組まれた場合、勝利はほぼ確定しているので、面白さが試合展開に全振りされる。結果、物語的クライマックスとは別に、スポーツ的クライマックスを迎えることがある。秋田城北戦はそういう試合。
野球

おおきく振りかぶって

ひぐち アサ
講談社
新設野球部が甲子園優勝を目指す!最新スポーツ科学ベースに
比較的平凡な高校野球チームが、他を圧倒するような才能を持ち合わせないものの工夫と努力で補って奮闘する物語。日本では「ID野球」という言葉が以前から言われているが、野村克也氏や古田敦也氏等のキャッチャーが頭脳を駆使しているという印象に留まっているように思う。『おおきく振りかぶって』は、あらゆるポジションの野球選手がいかに敵選手の能力やクセを分析し、配球を読み、守備を行うのか等を視覚的に分かりやすく説明してくれており、フィジカル面以外の野球の面白さを教えてくれる。
©小林有吾/小学館
サッカー

アオアシ

小林 有吾
小学館
ユースからプロになるサッカーの時代、高校生のサッカー人生を描く
Jリーグクラブ傘下のユースチームに所属する高校生がプロを目指す青春スポーツ漫画。主人公は、優れたテクニックや身体能力を持ち合わせず、必殺シュートも持っていない小柄のサイドバックだが、フィールドを俯瞰の視点で把握することができる力で必死に未来を切り拓こうとする。トライアングル、ディフェンスラインの連携、ファイブレーン等、高度なサッカーを実践するために必要な技術や思考を学んでいく過程が詳細に描写されている。サッカー選手が激しい動きの中でどれほど頭を使っているかを垣間見ることができる。『アオアシ』を読めば、サッカー観戦がより面白くなるし、草サッカーの機会があれば試してみたい気持ちに誰しもなるはず。
主催
助成