出会いは運命を変える。そんな胸躍る構成に心惹かれ、本作を選書しました。主人公・つばめは、運動神経が悪いにもかかわらず「背が高いから」という理由でバスケ部のエース・アイビスから勧誘を受けます。断るつもりだったつばめですが、結局挑戦してみることに。そのきっかけは助っ人として仕合で披露した「ドロップステップ」。アイビスがつばめのコンプレックスを武器に変えた、バスケのテクニックです。背が高いからこそ、最大限輝ける場所がある。それがスポーツの世界でした。アイビスに出会わなければ見つけられなかった居場所です。運命の出会いがなければ生まれなかった物語に、心が熱くなりました。
レビューの一覧
海の美しさは、危険と隣り合わせで成立している。そんな忘れがちな当たり前を教えてくれるキャラクターたちに魅力を感じ、本作を選書しました。沖縄の海で2人の女の子がシュノーケリングを楽しむ物語です。物語は終始コメディ調で展開されており、読みやすく描かれています。だからこそ、「海を舐めないで!」という強烈な一言が印象に残りました。沖縄の海はとても綺麗で思わず入りたくなってしまう。しかし、その海には危険な生物が暮らしている。彼らとの共生なしに、海に入ることは許されません。当たり前だけど、周りの人が教えてくれるわけじゃない。コメディというオブラートに包まれながらも、自然との付き合い方が学べる1冊です。
「人のために」しか動けない女の子が自分の性格を活かせるスポーツに巡り合い、輝く姿に魅力を感じ、本書を選書しました。本作のテーマはチアリーディング。いかに観客を魅了できるか競う、という点では競技性がありますが、本質には「人を応援する」というまごころがあるスポーツです。主人公のこはねは、人のためならば面倒なことも苦手なことも引き受ける性格の女の子。貪欲さが求められるスポーツの世界には向いていないように思われますが、チアリーディングの世界に居場所を見つけました。貪欲さがなければスポーツに向いていない、という諦めにも近い感情を抱いていた私に世界の広さを気づかせてくれた1冊です。
一度しかない高校生活で経験する仲間との熱い友情に魅力を感じ、本作を選書しました。『ハナヤマタ』は何もかもがフツウな女の子・なるが、妖精みたいにカワイイ女の子・ハナに憧れて「よさこい」の世界に足を踏み入れる物語です。主に5人の女の子が中心となって物語が進む本作。それぞれのキャラクターが「一歩を踏み出す勇気がない」という悩みを抱えていました。でも大丈夫、彼女たちには仲間がいるのだから。悩みを抱える自分と向き合いながらも、仲間達が待つよさこいの世界へ足を踏み出す。時には仲間から勇気を貰いながら、答えを出す姿に感銘を受けました。
スポーツを通じて育まれる家族の絆に魅力を感じ、本作を選書しました。『スローループ』は、「フライフィッシング」がテーマとなっている作品です。うちのまいこ先生の豊かな描画力により、大自然で行うスポーツの魅力が存分に描かれています。先生により描かれる渓流、海、釣り堀はアウトドア初心者の筆者ですら、一度訪れてみたいと思わされました。そしてスポーツを通じて描かれるのは家族愛。親同士の再婚をきっかけに出会ったために、ちょっと気まずい関係だった主人公のひよりと小春が、フライフィッシングを通じて仲を深める様子には心が温まりました。
やりたいことは明確でなくてもスポーツの世界に足を踏み入れて良い、ということに気づかされ、その優しさに惹かれて本作を選書しました。本作では、主人公が「夢中になれるなにか」を求めて女子プロレス部の扉を叩きます。終始コメディ調で物語が展開される本作ですが、やっていることは至って真剣です。コメディだと気を抜いていましたが、気づけばプロレスの世界にのめり込み、終盤では主人公と共に涙を浮かべる私がいました。最初からやりたいことが決まってなくても、やっているうちに本気になれることもある。好奇心だけで挑戦してみてもいいんだ。本作の主人公と同年代の学生に、そう伝えたくなるような作品です。
それぞれのキャラクターが苦い経験を乗り越え、再び夢に向かって走り出す姿に心を打たれ、本書を選びました。テーマーは高校野球。プレイヤーは全員女の子です。そのため作品には一貫して和やかな雰囲気が流れており、高校野球に馴染みのない人でも抵抗感がなく楽しめます。ただし、和やかなだけではありません。実はキャラクターはそれぞれ「諦めていた夢への再挑戦」として野球の道を歩き始めました。これまで歩んだ野球の道、もしくは他の道を歩んでいたキャラクターたちが諦めきれない夢を追いかける姿に、心を動かされたのです。
©如意自在/芳文社
スポーツを通じてかけがえのない存在(パートナー)への思いを深めていくキャラクターたちに、憧れにも近い魅力を感じたので、本書を選びました。テーマはビーチバレー。チームメイトは自分とパートナーの2人だけのスポーツです。基本ルールはバレーボールに似ていますが、根本的に違う考え方があります。それは「パートナーを信じる」ということ。8メートル×8メートルのコートをたった2人で支配するビーチバレーは、パートナーを信頼して背中を預けなければ勝利は掴めません。信頼するために相手の心に深く踏み込み、時には傷ついてしまうことも。しかし勝利を掴んだ2人は、かけがえのないパートナーになる。スポーツで生まれる絆が胸に響く作品です。