選者の一覧

庄司 昌彦

武蔵大学社会学部メディア社会学科教授、国際大学 グローバル・​コミュニケーション・センター(GLOCOM)主幹研究員、東京大学大学院情報学環客員研究員

レビューの一覧

陸上

風が強く吹いている

三浦 しをん、海野 そら太
集英社
三浦しをん原作の小説をマンガ化したもの。陸上競技は個人の力を競い合う種目が多いですが、駅伝は少し違います。走っている間は個人と個人の争いだし、トラック競技のリレーのような技術的な連携が求められるわけではないのですが、メンバーやサポート選手も含めたチームとしての力が結果に反映される、難しくて面白い種目です。原作の小説もそうですがマンガとしてもよくできていて、ひとりひとりの個性や事情、葛藤などの描写が丁寧で、読むとちょっと走りに行きたくなります。
©︎井上雄彦 I.T.PLANNING,INC.
バスケットボール

SLAM DUNK

井上 雄彦
集英社
バスケマンガの金字塔!90年代にバスケを一躍世界ブームに
定番ですが、好きな作品です。桜木花道をはじめ基本的にどの登場人物もメチャクチャなキャラで微笑ましいですが、チームスポーツの中で徐々に選手としても人としても成長していくところも好きです。「部活」っていいよね、と思います。「先生、バスケがしたいです」「諦めたらそこで試合終了ですよ」「リバウンドを制するものは試合を制す」「左手はそえるだけ」といった名言は今も記憶に残っています。
野球

がんばれ!!タブチくん!!

いしい ひさいち
双葉社
野球マンガの名作はたくさんありますし、「感銘を受けた」というタイプの作品とはやや異なるのですが、子供のころに読んでなんとなく好きだった作品です。今の優等生的なアスリートとしての選手はほとんど出てこず(笑)、牧歌的な古きよき日本的プロ野球の空気感に溢れていて、いま読むととても懐かしく感じると思います。
サッカー

GIANT KILLING

ツジトモ
講談社
番狂わせがあるから面白い!監督目線のサッカーマンガ
選手を主人公として描く作品は多数ありますが、監督を主人公にした作品は珍しいです。しかし多くの現役選手が自分より年下になってきた中年男性としては、監督としてチームをどうまとめるのか、弱小クラブの経営がどうなるのかという観点がたっぷり盛り込まれたGIANT KILLINGに自然に引き込まれます。そしてやっぱり、弱い者が知恵を絞って強い者をやっつけるのは爽快です。
©︎坂田信弘・中原裕/小学館
陸上

奈緒子

原作:坂田 信弘、作画:中原 裕
小学館
困難を乗り越えていく、型破りな天才ランナーの成長物語
長距離を走る陸上選手が走りながら何を考えているのか、相手選手とどのような心理的な駆け引きをしているのか、極限状態でさらに力を振り絞るモチベーションは何なのか、といった内面の描写が優れた作品。淡々と走っているように見える(かもしれない)ランナーが抱えたさまざまなドラマに心を動かされます。
主催
助成