©あだち充/小学館
野球

タッチ

あだち充
小学館
野球マンガの金字塔!甘酸っぱい青春劇

思春期は背伸びをする時期だ。大人っぽさを求めて一生懸命に足掻く。そういう焦燥感が思春期にはある。ただ、『タッチ』の主人公である上杉達也と浅倉南は思春期の焦燥感を感じさせない。むしろ焦っているのは登場する大人たちのほうだ。上杉達也が所属する野球部に監督代行で赴任した柏葉英二郎は、不完全燃焼だった思春期に決着がつけられずにいた。そんな不完全な大人を引き受ける思春期の上杉と浅倉。この立場の逆転は、高校野球がなぜ人々を魅了するのかを端的に教えてくれる。そう、多くの大人は不完全で、思春期に何かをやり残している。高校野球は、そんな無意識の思いを投影する装置だ。『タッチ』の魅力も、そこにある。高瀬 堅吉

主催
助成