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©︎あだち充/小学館
競泳

ラフ

あだち 充
小学館
あだち充は野球だけじゃない!競泳を舞台にした友情・恋愛の名作
主人公・大和圭介は水泳の選手で学生水泳界ではかなりの実力者だ。しかしどこか欲がなく記録や順位ののために後もうひと踏ん張りできないでいる。高校生活を過ごす中で圭介なりに泳ぐ意味と向き合い戦いを続ける中、ある出来事が起こる。それを機に「より速く泳ぐ意味」を見出し、圭介にとっての「競技としての水泳」にも変化が出ます。ラブコメだからこそ、水泳のレースとしての面白さにも拍車がかかります。クライマックスまであだち充のどこか穏やかな雰囲気を残しながらも燃える闘志。そして私にとっての選んだ理由は「人生で忘れることのできない1ページ」はこの作品で出会ったためです。
その他

ちはやふる

末次 由紀
講談社
記憶力と瞬発力のスポーツ「競技かるた」の魅力が詰まった傑作
『ちはやふる』が百人一首競技かるたの世界を広く世に知らしめたと思う。私自身、この作品を読むまで百人一首は国語や日本史の勉強の世界にあるものだった。かるたのイメージはみんなで楽しくやる遊びでしかなかった。しかし、今なら知っている。一枚でも多くかるたをとるためにどれほどの研鑽を積んでいる人たちがいるのか。そしてその競技の身体的・精神的過酷さや競技者たちの熱意も知っている。自分が知らないだけでまだまだ面白いスポーツがたくさんあるに違いないと思わせてくれた。新しい世界との出会いにつながるマンガだと思います。
©古舘春一/集英社
バレーボール

ハイキュー!!

古舘 春一
集英社
圧巻の臨場感!キャラも魅力的な大人気バレーボールマンガ
バレーボールは、あまりルールをわからなくても見ていれば熱狂できるスポーツだった。「床にボールを落としてはいけない」という単純明快さが交互に繰り返されることで1ラリーごとに息をのむ瞬間が続く。初めて生でバレーボールの世界戦を観戦した時、その迫力とスピードに圧倒された。そして、『ハイキュー!!』を読み、あの目まぐるしい攻防の中でいかに多くの駆け引きが繰り広げられているのかを知った。一つ一つの動き全てに意味があり、ゲーム全体を構成している。「見ていれば熱狂できるスポーツ」だったバレーボールは「もっと知りたいスポーツ」に変化した。このマンガを読んでから、また生でバレーボールを見れる日が待ち遠しくて仕方がない。
その他

ヒカルの碁

原作:ほった ゆみ、作画:小畑 健
集英社
週刊少年ジャンプ
囲碁や将棋やチェスは「マインドスポーツ」と呼ばれ、世界中で大会が開かれている。近年ではゲームもeスポーツと呼ばれ「スポーツとは体を動かすもの」という概念が変容してきている。『ヒカル』の碁は、棋士と呼ばれるプロではなく、少年を主人公に据えることで「院生」や「学生大会」など、業界を広く描いている。そしてプロの世界へと進み数あるタイトル戦やその歴史、そしてその先に中国や韓国での囲碁についても描かれる。また、インターネットを通じて世界中で囲碁が打たれていることも物語の要素として重要な役割を担っている。日本人だけがやっている遊びではなく、世界中で興じられている「スポーツ」であることがとても伝わる作品だ。
©小林有吾/小学館
サッカー

アオアシ

小林 有吾
小学館
ユースからプロになるサッカーの時代、高校生のサッカー人生を描く
「世界」を見据えたサッカー。そしてその礎となるクラブユース。日本サッカーに革命をもたらそうという大いなる志を持った登場人物たちが描かれている。Jリーグが発足してから約30年。日本人選手が世界のトップチームで活躍することも増えてきている。「プロ」を目指すのではなく「世界一のプロ」を目指す。あまり描かれることのない「ユース」からの視点で現代日本サッカーを捉えた物語の展開。そしてサッカーに詳しくない読者にも「そうだったのか」と理解させてくれる戦略の描き方が、多くのファンを掴んだ要因だ。このマンガを読む前と後ではサッカーへのワクワクが全く違うものになるだろう。
ブラインドサッカー

ブクロキックス

松木 いっか
講談社
ブラインドサッカーってかっこいい!競技の観方が変わる!
ブラインドサッカーは健常者も視覚障害者も全く同じ土俵に立って行うことのできるスポーツだ。プレーヤー全員が目隠しをつけ、音の鳴るボールと仲間からの指示を元にサッカーをプレイする。主人公たちの所属するチーム「ブクロキックス」は若者からおじさんまで様々なプレーヤーで構成された“寄せ集め”のチームだ。しかしだからこそ通常のサッカーでは見ることのできない、人々が垣根を越えて同じスポーツに興じる爽快感が描かれる。肝心の試合も見事だ。視覚障害者のチヒロのプレーはまるで「座頭市」のようだ。五輪への関心が高まる中、「ブラインドサッカー」の面白さを存分に味わえるマンガだと思う。
バレエ

ダンス・ダンス・ダンスール

ジョージ朝倉
小学館
男子バレエを熱く描く、性別は関係ない踊ることへの欲求
バレエダンスの世界は、非常に厳しい。踊りの技術の高さだけでなく、表現力やスター性、さらには容姿までもがシビアに評価される。その厳しさから、読み手もこんなにも苦しいものかと痛みを共有してしまうほどだ。 しかしひとたび舞台上に降り立てば、彼らは「バレエダンサー」として輝きを放ち、読者をその踊りの虜にする。バレエを全く知らない人でも、その踊りの凄まじさを直感的に理解してしまう。マンガであることを忘れ、音楽と踊りの中に没頭してしまうでしょう。「バレエってこんなにすごい世界なのか」と感じてもらえるのではないかと思った。そして自らも思わず体を動かしたくなるというマンガは稀有だと思ったため。
サッカー

ANGEL VOICE

古谷野 孝雄
秋田書店
少年チャンピオン・コミックス
学校の問題児たちを集めて作られたサッカー部。その生徒たちの成長を描く物語だ。仲間も相手チームも各々の背景をしっかり掘り下げていくためメンバーへの感情移入が強く入る。後半のチームの結束と、その試合の内容は目を離せなくなる面白さだ。そして作者が最初からこの作品で描きたかったことが真っ直ぐに伝わる。高校サッカーの名作だと思う。サッカー漫画は数多く出版されているが、登場人物の「心情」にここまで真っ直ぐ向き合った作品はなかなか出会えないのではないかと思うので数あるサッカー漫画の中から選びたいと思った。
その他

バチバチ

佐藤 タカヒロ
秋田書店
少年チャンピオン・コミックス
この漫画から感じる熱量を表現するならば、「命が燃えている」としか表せられないのではないか。日本の国技「相撲」、その中でも一握りの力士によって繰り広げられる大相撲の世界はまさに命のぶつかり合いだ。このマンガからは、長い歴史と伝統に裏付けされた競技としての風格を学び取ることもできる。そしてそれ以上にこの競技に取り組んでいるのは今を生きる若い力士たちであると、訴えかけてくるのだ。「相撲」を「古いモノ」としてスルーしていないか。数千年もの間、人々を魅了してやまない「熱狂」が読者を掴んで離さない。このマンガを読んで相撲に興味を持つきっかけになってほしい。
©あだち充/小学館
野球

タッチ

あだち充
小学館
野球マンガの金字塔!甘酸っぱい青春劇
「高校野球」「甲子園」と言えば『タッチ』を連想する日本人は多いと思います。しかしその一方で、実際に読んだことはなく病室や告白のシーン、そしてアニメ主題歌しか知らないという方も意外に多いのではないかと思います。タッちゃんと南ちゃんのラブコメとしてだけでなく野球漫画としての面白さを再認識してほしいと思い選びました。仲間との3年間、毎日の練習、最後の夏、エースの重圧、バッテリー、監督、因縁のライバル、そして「甲子園」という高校野球の象徴。高校野球ファンのあだち充先生だから描ける「日本の高校野球」の面白さがぎゅっと詰まっています。
主催
助成