スポーツ漫画では、主人公が1年生の場合、最初の1年目は敗れて、3年目に捲土重来してリベンジ、的なパターンが多いですが、最初の1年目から優勝させちゃったのが、なんとも画期的。連載終わるのか、と思っちゃいました。それでもテンション落とさずに描き続けられていて、毎回、抜く&抜き返すターンバトルの連続な気もしないでもないですが、熱いから良き。で実は、ちょうど僕の地元の千葉県佐倉市が、彼ら総北高校の所在地設定ということで、コラボキャンペーンなどもしてたりしましたが、それ全く関係なく、大好きです。
少年漫画初のゴルフ作品! 天才ゴルファー猿が必殺ショットで勝利を目指す
藤子A先生の古典的名作ですが、あらためてスゴイのが、そのタイトル。「プロゴルファー犬」でも「プロゴルファー牛」でもなく、やはりハマるのは「猿」しかないでしょう。そんな猿も相当ですが、それ以上に個人的に印象的だったのが、猿の敵として現れる、覆面男ミスターX。覆面というのは、漫画的にはよくある表現ではありますが、A先生の写実的すぎる陰影ゆえか、「ずっと覆面でツラくないのかな」と、初めてキャラデザインの現実性について目を覚まさせてくれたキャラでした。
格闘漫画、ではあるけれど、まぁ直近では相撲だし、いちおうスポーツ漫画と言えないこともない『バキ』。地下闘技場最大トーナメントでは、参加者多すぎなわりには消化試合っぽい試合まで激アツだし、都度立ちふさがる父親・勇次郎とのやりとりも都度激アツです。この手のバトル漫画では、主人公に対する敵のインフレが、大きなポイントとなってきますが、原始人、歴史上の剣豪、と不思議な形でインフレしきった末に、最近の敵は横綱、という、読者としても温度感が保てない展開からは、目が離せません。
バスケットボール
黒子のバスケ
- 藤巻 忠俊
- 集英社
個性豊かなキャラクターが登場、第六の「黒子」が才能を発揮!
『スラムダンク』が別格すぎるジャンプにおいて、バスケ漫画を連載するには、もうジャンプ的な特殊能力路線しかなく、その戦略をみごとに具現化させていた点が素晴らしいです。まぁどこからでも3ポイントが入ったりするのは、チートすぎて、バスケならぬ「バヌケ」的とも言えますが、自分が子供だったらきっとマネしたことでしょう。ちなみにこの際なので「『ゾーンに入る』という表現、『黒子のバスケ』が流行らせた説」も提唱しておきます。
スポーツ漫画に欠かせないのが必殺技。テニスならではなブーメランスネイクとかが繰り出され、たかぶったものですが、いつしか、天衣無縫とか謎の四字熟語が言い出されることに。この頃から、「あれ、この漫画って…」と思い始めましたが、いつしかテニス中に、海賊が襲ってきたり、ブラックホールが発動したりと、固定観念に縛られていた我々読者のキャパシティーをしっかり広げてくれたのでした。最近では「無に帰す」こともあり、もう一体何漫画を読んでいるのかわからなくなりますが、これからも「テニス」の次元を超えた「テニヌ」、をも超えた「チニヌ」、な展開を期待します。
野球
大甲子園
- 水島 新司
- 秋田書店
- 週刊少年チャンピオン
水島先生の数ある野球漫画のキャラたちが戦い合うという、集大成的夢物語にて、つい気になるのが、主人公チームの明訓高校。といっても、おなじみ山田・里中・殿馬・岩鬼の明訓四天王ではなく、それ以外のメンバーです。例えば6番を務めるのが、上下(かみしも)くん。名字からして「え?」となりますが、その名前は、左右太(さゆうた)。「え?推敲ゼロ?」と、ついキャラへの愛着を疑ってしまう圧巻のネーミングなのでした。そしてさらには、7番の蛸田くん。そうご想像通り、顔からしてタコで、しかも語尾に「〜タコ」が付く徹底ぶり。超有名主人公チームなのにこの大胆なキャラメイキング、何よりも野球が第一、ということなのでしょう。
わたると宮城(ほぼ化け物)という個性的すぎるキャラをメインにした野球漫画。漫画として、主要キャラがある程度ふざけるのはわかるのですが、この作品、登場する者全員がふざけています。そう、つまりは、観客までも。本来、スポーツ漫画にては当然、匿名集団である観客が、妙に饒舌で、そのガヤが本編にもガンガン踏み込んでくるのです。そんなせいで、ほぼギャグ漫画として読んでいたものですが、ただ野球漫画としても毎試合展開が胸アツで、両者が高次元で有機的に融合した傑作だと言えるでしょう。
野球
県立海空高校野球部員 山下たろーくん
- こせきこうじ
- コアミックス
スポーツ漫画って、主人公が成長していく姿を描くことが多いですが、当作品は、主人公のデフォルトの不憫さが群を抜いています。まず名前からして、野球漫画主人公モデル「山田太郎」よりも安易に下なネーミング感にて。さらに、作者の画風にもよりますが、キャラデザインが見るからに、ほぼモブ。そして一人称も「おで」。そのうえ、仲間からボッコボコに殴られたりすることも。と思い出しただけでも可哀想な不憫さですが、いつしかほぼ根性だけで勝ち上がっていき、その成長曲線の延び幅は、野球漫画界、いや漫画界でも随一なので、ぜひご堪能を。
サッカー
LIGHT WING
- 神海 英雄
- 集英社
サッカー漫画なわりに、サッカーの試合内容はほぼ覚えていないのですが、いまだ記憶に新しいのが、作中で繰り出される数々の名言たち。「2秒で○○」「刹那で○○」など今やネット慣用句としても定着しきっているそのワードセンスは、作者の類まれな才能だと言えるでしょう。で、最後どうなったかもよく覚えていないのですが、確か、地球から翼が生える、というビジョンは脳裏に焼き付いているので、サッカー的にどういう事態かはさておき、きっと大団円を迎えたことでしょう。また読みたいです。
サッカー未開の地だった日本に、サッカーを根づかせたのは、間違いなくこの『翼』でしょう。ジャンプ連載当時、学校のプールではみな、立花兄弟のスカイラブハリケーンをマネしたものです。が、翼キッカケで、いつしか僕ら読者自身もサッカーを始めていくわけですが、実際のサッカーってものを知ってしまうと、「あれ…なんでこの人たち、空中サッカーを防ぐために、ゴールポストの上に登っているんだろう…」などと、つい冷静に違和感をおぼえてしまったのは、サッカー普遍化に伴う功罪だと言えるでしょう。なおも続く最近の翼では、ボールの上に乗って進むセグウェイドリブルなどもありますが、もう動揺はいたしません。