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©曽田正人/小学館
自転車

シャカリキ!

曽田 正人
小学館
個人競技としてのロードレースの魅力、天才が見る限界の先
曽田正人先生の描く漫画の主人公は“天才”です。ただの天才ではなく、“孤高の天才”です。他の漫画だと敵役のキャラクターにそういうキャラクターが多いのですが、曽田漫画はその逆なんです。普通はそうしたキャラクターは理解しにくいものです。しかし、主人公のテルの「坂を登りたい」という純粋無垢な動機は、わたしたちが子供の頃にもっていたなにか大切な感情を、激しくゆさぶりつづけます。そうなんです。人は誰しも奥歯を割るほどに、何かに没頭したいんです。本当は。テルが私達に気づかせてくれるのは、表面的なチームワークや困難や達成感でなく、アスリートの枠を越えた、人間としての根源的な衝動なのです。
©️河合克敏/小学館
柔道

帯をギュッとね!

河合 克敏
小学館
明るく、楽しく、さわやかな柔道部!
本業ではNFTやオンライン展覧会などデジタルでの企画させてもらっていますが、実は小学校の時に柔道を少しだけやっていました。その動機となった作品が「帯をギュッとね!」なのです。河合先生の描く浜名湖高校のメンバーたちは、とにかく仲が良い。その飾り気のない、朗らかな仲の良さに、私はあこがれてしまいました。粉川巧の背負投、ライバルである鳶嶋の袖釣り込み腰、斉藤の三角絞め。巧がやっていたお尻のストレッチしか習得できなかった私からすると、目の覚めるようなカッコいい技がたくさん出てくるのも帯ギュの魅力です。
野球

ダイヤのA

寺嶋 裕二
講談社
週刊少年マガジン
数多くの野球漫画があれど、登場人物の“熱さ”を測定したら、ダイヤのAが一番ではないでしょうか。スポーツマンガ史上最高の“熱さ”は、読み手にも伝播し、ダイヤのAを読んだ人、読んでない人で、その後の行動力、ひいては一人あたりのGDPに有意な差が判明!いう研究結果が、近い将来発表されるのではないかと私は予想しています。かくいう私自身も球児たちの“熱さ”に昂ぶり、「母校のエースに届け!」という企画を提案。母校の野球部を応援するメッセージをwebに投稿すると、そのメッセージが沢村栄純たちが描かれたポスターに個別に印刷され、全国5000校の野球部に本当に届く、という企画をさせていただきました。一読者にそこまでさせてしまう漫画。それがダイヤのAです。日本国民全員に是非とも読んでほしい作品です。
主催
助成