ゴルフ
風の大地
- 原作:坂田 信弘、作画:かざま 鋭二
- 小学館
一切ゴルフをやったことがない私。子供の頃から、ゴルフに熱中する大人をみて、「なんでこんなに夢中になってるんだろう?」と思い続けていました。が、この超大河ドラマ作品、風の大地を読んで、大人は、ゴルフというスポーツに人生を見いだしながらプレイしていたんだ、ということが実感として伝わってきました。そして、そのゲームの中を主人公として颯爽と歩いて行く沖田圭介は、マンガ史上最大の人格者の一人。人格者こそ結果を残すのだ、という我々の心が本当は望んでいることを実現してくれている姿に、目頭が熱くなる。
クライミング・登山
岳
- 石塚 真一
- 小学館
- ビッグコミックス
勝ち負けがないスポーツには、切磋琢磨のバトルが存在しない。また登山には、登頂できるかをギャンブルでやってはいけない、常に生命を優先する、というルールがある。登山の物語には、何かを成し遂げた結果ではなく、どうやって為したか、過程の魅力だけが問われる。超能力で一気に登頂を極める登山マンガって、面白くないですよね。まさに、スーパークライマーも、ごくごく一般のおじさんおばさんも、一人一人、歩いて山を登る。その、ある意味淡々とした描写にこそ、生も死も超えた、圧倒的な魅力が山に、登山にある、という唯一無二の魅力が伝わってくるマンガ。
ユースからプロになるサッカーの時代、高校生のサッカー人生を描く
まず言いますが、リアルのサッカー、ぜんぜんわかりません。どんな意図を持ってチームが作戦を実行しているのか、解説があっても何もわからない。それが、周囲のサッカーファンも、刻々と進化する世界最先端の作戦が連載の最中に取り込まれている、というこの作品。なんと、物語の中だと、フィールド上の22人が、どんな駆け引きをしているのか、わかるのだ。ある意味バトルマンガの超能力にも等しいことを、圧倒的なリアリティで信じ込ませてくれる。ホントにいま連載の先が一番たのしみ!!
新設野球部が甲子園優勝を目指す!最新スポーツ科学ベースに
野球少年はみんなホントに前向きでさわやかなのか?いや、性格が卑屈でも、野球が好きで好きでたまらない、という投手はいる!そこに、正しく寛大で必要なだけ仲間を意識し、しかし干渉はしないチームメイトと、精神論抜き、具体的な方法で導く指導者があらわれ、卓越した作戦で圧倒的な結果を出すことによって、主人公が明らかに成長してゆく。次々登場するライバルも自らの事情を嘆かず受け止め立ち向かってくる。彼らの姿に、スポーツの本質は、「自分で頭を使うこと」だと感じさせてくれる、自立のすがすがしさに満ちあふれた作品。
野球
僕はまだ野球を知らない
- 西餅
- 講談社
- モーニング・ツー
野球技術の最先端、セイバーメトリクス。野球を数字で分解し、徹底的なデータで戦うマンガ、と聞いたら緻密な頭脳戦が描かれると思いきや、そのセイバーメトリクスを使いこなす監督が、野球経験無しだが野球が好きすぎる残念監督で、相手の監督をストーキングするような奇行はギャグマンガにも見える。が、決して誰も見捨てず勝ちに行く姿には、精神論じゃない勇気がそこにある。雑誌連載が終了したものの、なんと作者の西餅さんがみずからnoteで連載を続けているという、その意味でも「諦めない」をかっこつけずに本気で見せる作品。