このマンガのレビュー
藤子A先生の古典的名作ですが、あらためてスゴイのが、そのタイトル。「プロゴルファー犬」でも「プロゴルファー牛」でもなく、やはりハマるのは「猿」しかないでしょう。そんな猿も相当ですが、それ以上に個人的に印象的だったのが、猿の敵として現れる、覆面男ミスターX。覆面というのは、漫画的にはよくある表現ではありますが、A先生の写実的すぎる陰影ゆえか、「ずっと覆面でツラくないのかな」と、初めてキャラデザインの現実性について目を覚まさせてくれたキャラでした。 ヨシダプロ
トキワ荘に住んだ藤子不二雄Ⓐ作品。スポーツ作品の多くは現実に寄せて描いていくが、現実がやってみたい/みてみたいと「旗つつみ」などの必殺技を追う側となる数少ないスポーツ作品。スポーツ自体が持つワクワク感を、競技を知らずとも必殺技でワクワクさせられる、思わずそれをやりたくなる、必殺技のあるべき姿がやはり魅力。 一乃瀬 光太郎
すべてに極端なまでのフィクション感を持たせることで、いわゆる我々の考えるリアルなゴルフストーリーの漫画を最初に拒絶するところが潔い。その一方でゴルフの知識も語られ、それをもとにして、実際にはあり得ないコースでの対決やスーパーショットでの勝負など、ストーリー展開を面白く見せていくところが素晴らしい。 馬場 晋一
現実ばなれした作品であるが、子どもながらに真似をしたり、スポーツをより身近に感じさせてくれる作品。公園で真似して遊びました。普通のゴルフマンガであったらそんなことはしなかったと思います。それがあってか、ゴルフはやらないけど身近に感じる部分が未だにあります。 熊谷 崇之
ゴルフは自然と闘うスポーツだ。主人公の猿谷猿丸は、猿そっくりの野生児で天才少年ゴルファーとして登場する。「野生児」ゆえに自然を味方につけた猿は、対戦相手を次々に撃破する。ところが「黄金仮面」と呼ばれる対戦相手との勝負で、猿は雨で足を滑らせる不覚を取り、それが元で敗れてしまう。一般のゴルファーは専用のスパイクを履いて試合に臨む。自然との闘いには、人間の小賢しい知恵が必要であることを教えてくれるシーンだ。リターンマッチの際、猿は松脂をグリップ代わりに足の裏、手元に塗り、試合に臨む。ゴルフというスポーツを描きながら、自然との闘い方を教えてくれるマンガ、それが『プロゴルファー猿』だ。 高瀬 堅吉