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©古舘春一/集英社
バレーボール

ハイキュー!!

古舘 春一
集英社
圧巻の臨場感!キャラも魅力的な大人気バレーボールマンガ
主人公チームやライバルたちだけではなく、全ての登場人物やチーム、さらにバレーボールやスポーツへの愛情と敬意が感じられる作品。時には強豪校以外の視点から物語が描かれることもあり、結果を出せた人出せなかった人、部活に打ち込んだ人やそうでもなかった人、レギュラーや控え選手、監督、コーチ、応援する側など、部活に関わったことのある人なら誰もが共感するキャラを見つけたり、自身の経験に重ね合わせて読むことができるはず。構図やオノマトペの使い方も斬新で、バレーボールのスピード感や迫力をマンガならではの表現で存分に体感できます。
その他

3月のライオン

羽海野 チカ
白泉社
ヤングアニマル
マインドスポーツとも呼ばれる将棋。極限の思考力とメンタルが求められる競技だからこそ、その盤面には棋士たちの生き様そのものが表れます。作中に登場するどの人物や戦いも魅力的ですが、その中でも特に主人公、桐山零の(自称)ライバル、二海堂晴信は印象的。幼い頃から病気と向き合い、目の前の圧倒的才能に何度も悔しい思いを重ね、それでも常に明るく前向きにふるまい、自らの手で再び立ち上がる彼の姿を見ていると、自分もまだ何かやれるはずだという気持ちにさせてくれます。
テニス

ベイビーステップ

勝木 光
講談社
緻密に描くテニスマンガ、真面目な主人公が一歩一歩ステップアップ!
真面目で成績優秀、なんでもきっちりこなす成績優秀なエーちゃんが、ふとしたことからテニスと出会い、持ち前の実直さで成長していきます。特別なセンスや身体能力を持っているわけではないエーちゃんですが、自分の頭で考え、練習や試合の度に反省し、また改善させていくというサイクルを一歩一歩、ベイビーステップで繰り返しながら成長していく様子は、ただ漫然と取り組むだけでなく常に頭を使いながら正しい努力を続けることの大切さを教えてくれます。テニスに限らずあらゆるスポーツや勉強、試験など、目標に向けて頑張っている人全てにおすすめの作品。
ダンス

ボールルームへようこそ

竹内 友
講談社
内気な中学生が熱い社交ダンスの世界に飛び込む
とにかく紙面からほとばしるエネルギーがすごい! 将来の夢もやりたいことも無くなんとなく過ごしてきた少年が、偶然出会った競技ダンスの世界に飛び込み目の前の景色が変わっていく。気弱で流されがちだった男の子がダンスに対しては一切妥協せずパートナーとも本気でぶつかりまくる様子は、夢中になれるものを見つけた時のパワーの凄まじさを感じます。社交ダンスが持つ競技としての側面にスポットがあてられ、ダンサーたちのむき出しの感情とボールルームのヒリヒリとした空気感が圧倒的な画力によって見事に描き出されています。
バレーボール

少女ファイト

日本橋 ヨヲコ
講談社
複雑な人間関係を描く、高校女子バレー群像劇
バレーボールをテーマにしていますが、このマンガの本質は人間ドラマ。誰が、どのチームが主役かとかそういうことではなく、生きづらさを抱えた登場人物たちがぶつかり合い、ままならない感情や弱さを抱えながら、それでも自分や他人と向き合って成長していく群像劇です。むき出しの魂と密度の高すぎる熱量にあてられて、気づけばどっぷりと世界に浸かっていることでしょう。
サッカー

さよなら私のクラマー

新川 直司
講談社
女子サッカーが舞台!諦めずに努力を続ける
高校生たちの女子サッカーにかける熱い姿を描いた本作。女子サッカー界全体が抱える難しい問題をテーマに内包しつつも、登場人物たちはみんな、ひたすらサッカーに夢中でグラウンドを走り回っています。情熱も涙も笑いもカタルシスもぎゅうぎゅうに詰まった作品ですが、ドロドロと心をかき乱されるような薄暗さはどこにもありません。サッカーが好きで、仲間が大切で、勝負に真剣で。彼女たちの行動原理は明快で、本作にはカラッとした気持ちのいい空気が流れています。テンポの良い試合、終始繰り広げられるドタバタ会話劇、印象的なセリフなども含め、普段スポーツマンガを読まない方にも迷いなくおススメできる作品です。
クライミング・登山

のぼる小寺さん

珈琲
講談社
ボルダリングに夢中な小寺さんにみんな夢中
ボルダリングというスポーツが持つ性質を体現するかのように、周囲の評価より自身の情熱や登り切った時の喜びに素直な小寺さん。ひたむきに壁をのぼる彼女を見ていると、周りに流されて無難に生きる自分を少し変えてみたくなります。そのまっすぐな瞳や無邪気な仕草にドキッとしたり癒されたりすること間違いなし。
ダンス

ワンダンス

珈琲
講談社
ダンスって自由だ。吃音の男子高校生が選んだ自己表現
吃音症で他人とのコミュニケーションが苦手だった小谷花木(カボ)が、高校でダンスと出会い、言葉を使わないその表現に魅せられていきます。カボの音に対するセンスの良さは、吃音症のコンプレックスゆえ常に周囲に気を配ってきた生き方にも由来しています。上手く言葉を紡げない不自由さで内に抑えられていた感情が、ダンスによって全身からあふれ出す。そこには言葉に頼らないからこその自由さがあります。不得意なことがあったとしても、それは自分を表現する手段が失われることを意味しません。好きなことに熱中し自分の感覚に正直になる大切さを教えてくれる作品です。
主催
助成