このマンガのレビュー
スポーツ選手における“理論派”というものを、これほど説得力をもって描ききった作品は他にありません。大抵のスポーツマンガの理論派キャラは、眼鏡をかけてコンピューターをいじっていてモテないものですが、主人公のエーちゃんは、眼鏡もかけていなくてひたすら紙のノートに書きまくってヒロインとあっという間につきあってしまいます。そういう安易な記号を一切排して、平均的な身体能力の選手がデータ分析能力の高さを強みとして考え抜いて試合に勝つとはどういうことかをきっちり描くマンガです。 松岡 忠幸
テニスって超能力バトルだけでなく、現実の戦いではここまで戦略性が問われるスポーツなんだ、と教えてくれた作品です。超ガリ勉主人公が、自分の欠点を細かくノートに書き出して効果的なトレーニングを積み、試合で結果を出していく姿は、「才能が無いものはどうやって考えて戦うか」のお手本。プロのアスリートに人格者が多いのはなぜか、の過程が知れます。 黒木 貴啓
真面目で成績優秀、なんでもきっちりこなす成績優秀なエーちゃんが、ふとしたことからテニスと出会い、持ち前の実直さで成長していきます。特別なセンスや身体能力を持っているわけではないエーちゃんですが、自分の頭で考え、練習や試合の度に反省し、また改善させていくというサイクルを一歩一歩、ベイビーステップで繰り返しながら成長していく様子は、ただ漫然と取り組むだけでなく常に頭を使いながら正しい努力を続けることの大切さを教えてくれます。テニスに限らずあらゆるスポーツや勉強、試験など、目標に向けて頑張っている人全てにおすすめの作品。 旅するタコ
経験も身体的なアドバンテージもない主人公が、ゼロから始めたテニスでプロを目指すストーリー展開に、思わず頑張れー!っと応援したくなる作品です。経験の少なさを、相手をよく見て分析することや、自分を客観的に見ること、今までやってきた分析力や努力を信じて補い、格上の相手に粘り強く食らいついていく様は、テニスに限らず全ての経験に生きるメソッドだと思います。 プロになるという自分の人生を決める大きな賭けに悩み、不安を抱えながらも自分なりの道を探す過程や、周囲のライバルたちが選ぶ未来も丁寧に描かれていて、スポーツに関わる人、すべてに刺さる作品だと思います。 そふえ
主人公の栄一郎のテニス上達方法は徹底的な情報収集と分析、それらを膨大な量のノートに記していくこと。たとえ天才じゃなくても、実力が劣っていても、小さな努力の積み重ねでまだまだ前進できると教えてくれます。テニスのルールや面白さを全く知らなくても、読むほどに知識や楽しみ方がわかるのもお見事。 川俣 綾加
決して才能があるわけではない主人公が、単純な努力や根性ではなく、理論的な実践や相手への徹底的な観察を通じて学習を重ねる姿が特徴的なテニスマンガだ。身体的な優位性に勝るには、それを補うだけの思考や徹底したシミュレーションが求められる。それは、スポーツのみならずあらゆるシーンにも通用するはずだ。価値ある努力と観察がもたらす価値について多くの示唆を教えてくれる。 江口 晋太朗
マンガというのはある程度空想やファンタジーな表現があります。それはスポーツマンガでも例外ではありません。なおかつ、マンガとして表現するときに、スポーツならではの「リアリティ」を表現することは、並行して難しいものです。ベイビーステップは、どちらかというと「リアルより」の作品。その中でも主人公の成長が、リアルな感じで面白い!!特に「あまりスポーツが特異ではなかった主人公が、努力しながらも、自分の「強み」を活かして戦っていく様はとても感動しました。これを読んだら「テニスをしてみたい!」と思う人も増えるのでは?爽やかな主人公の性格と、多種多様なライバルとのまっすぐした勝負にも、心動かされます! 前田 雄太
子どもの頃から几帳面で勉強家だった丸尾栄一郎が、高校でテニスに出会い、選手として成長していく姿を描く。いわゆる“熱血もの”とは違い、地道な努力を重ねて少しずつステップアップしていく丸尾が、等身大の主人公として好感が持てる。対戦選手の動きを観察・記憶して分析し、試合中もノートに記録を取って戦略を立てるといった頭脳型のプレーが斬新で、テニスの知識が少ない人にもとっつきやすいのでは。 吉村 麗
生真面目で、得意は勉強。そんな主人公がテニスに目覚めた時、センスの塊、卓越した身体能力、テニスエリートに対して「どうしたら勝てるのか」を突き詰めて考える、「思考のテニス」は必見です。自分の能力を整理して、自分と対戦相手の距離を図り、勝つ確率を分析します。試合当日までに残された時間と、確率を1%でも上昇させるためにできることを愚直にこなす姿は、凡人の生存戦略はいかに立てられるべきかについて、テニスを通じて学ぶことができる一冊です。 工藤 啓