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レビューの一覧

野球

遥かなる甲子園

原作:戸部 良也、マンガ:山本 おさむ
双葉社
聴覚障害の少年たちが困難を乗り越え、野球に青春をぶつける
障がい者が世間で生きることの困難さや、沖縄に残る米軍基地がもたらす影響など、今日も日本社会に残る差別や無関心の問題を訴える作品です。6年にわたる取材をもとにドキュメンタリー作品として作られた原作を元に、甲子園出場を目指す子どもたちとその周囲の大人たちの人間ドラマが球児たちの目線から描かれていて、どうしようもない辛い現実に身につまされる思いで読みました。どちらか一方が悪役というわけではないけれど、不平等と不公平は我慢を強いられている側でしか気づくことができないと改めて感じました。こういった作品を通して、多様性を受け入れることを、表面的な共感だけではない行動に繋がるきっかけになってほしいです。
野球

ROOKIES

森田 まさのり
集英社
高校生の刹那的で、向こう見ずな一面をうまく描きながら、熱血教師が思春期の高校生にどう関わるのかを真摯に描いています。言葉だけでなく圧倒的な行動力で模範を示し、生徒たちに夢を持つことの素晴らしさや、チームとして団結することの魅力と難しさ、生きていくうえで大切なことを力強く伝えていく、主人公の教師の魅力がギラギラと光る作品です。挫折や過去の代償といった、リアルな現実を包み隠さずそのまま描かれているところも見どころのひとつだと思います。
バスケットボール

Harlem Beat

西山 優里子
講談社
90年代「高校バスケ」と「ストリートバスケ」双方の魅力を描く
ストリートバスケに、高校の公式戦といった、「バスケはどこでやっても、年齢問わずだれとでも楽しめるんだ!」というバスケの楽しさを全面に押し出した作品です。高校時代の煌めくような一瞬を懸命にバスケに捧げる高校生たちの笑いあり、感動あり、恋愛ありの青春の1ページのような作品だと思います。
©︎I.T.PLANNING,INC.
車いすバスケットボール

リアル

井上 雄彦
集英社
それぞれの現実の困難に向き合う。車いすバスケは格闘技だ
車いすバスケをテーマにした3人の男たちが現実という壁に立ち向かう姿に心打たれます。予期せぬ病気や事故をきっかけに車椅子生活になった若者の「リアル」が紙面から溢れています。 スラムダンクの作者、井上雅彦さんが車いすバスケというスポーツを最大限に活用しながら、人間くさい男たちの心情や葛藤を丁寧に表現しています。車いすバスケが「コートの上の格闘技」とも呼ばれる裏側には、思春期に突如動けなくなった若者たちの心の叫びや辛い経験を乗り越えた強さが垣間見えていると感じるくらい、彼らが心のよりどころとしてスポーツに懸けている覚悟が感じられる作品です。
©️鈴木央/集英社
ゴルフ

ライジングインパクト

鈴木 央
集英社
天才ゴルファーが続々登場! それぞれの特技でしのぎをけずる
ゴルフ未経験者でもわかりやすく、ストーリーも主人公が初心者からステップアップしていく過程が描かれており、とても読みやすい作品です。ジャンプコミックのキーワード「友情・努力・勝利」が絶妙にマッチした作品で、ひたむきに努力してレベルを上げていく主人公たちや、トラウマや過去を乗り越えていく過程。そして、スーパープレー連発の驚きの展開と熱き勝負に、テンポよくスカッと読める作品です。
バレーボール

ハリガネサービス

荒 達哉
秋田書店
「完璧なサーブ」ができる主人公が本物のエースを目指す!
スポーツマンがの主人公といえば、チームのキャプテンで、人望も厚く、精神的にも肉体的にも強いヒーローのような存在を思い浮かべますが、この作品の主人公はすごい一芸は持っているものの、どちらかといえば影に隠れてしまうようなおとなしい性格です。とにかくバレーが大好きで、チームに貢献したい、もっとコートでプレーしたい!という一見派手ではないキャラクター像に共感がもてます。長所を生かしチームで勝つというチームプレーの面白さが光る作品です。
©稲垣理一郎・村田雄介/集英社
その他

アイシールド21

原作:稲垣 理一郎、作画:村田 雄介
集英社
「一芸」がチームになれば活躍できる。アメフトの魅力を描いた傑作
ラグビーとアメフトの違いも分からないまま読み始めた作品ですが、初心者にもわかりやすい解説と、アメフトの点数の入り方が特殊で最後までドラマがあり、ゲームとしての面白さを最大限に生かしたストーリー展開にどんどん引き込まれていきます。最初は無理やりやらされていたアメフトの魅力にチームメンバーが気付いていき、自分の役割を果たそうとチームとして結束していく過程が熱いです。無茶苦茶なコミカルな部分と、シリアスな部分がマッチしていて、ぐっと心に刺さる展開やセリフも多く、アメフトの面白さを存分に感じられる作品だと思います。
テニス

ベイビーステップ

勝木 光
講談社
緻密に描くテニスマンガ、真面目な主人公が一歩一歩ステップアップ!
経験も身体的なアドバンテージもない主人公が、ゼロから始めたテニスでプロを目指すストーリー展開に、思わず頑張れー!っと応援したくなる作品です。経験の少なさを、相手をよく見て分析することや、自分を客観的に見ること、今までやってきた分析力や努力を信じて補い、格上の相手に粘り強く食らいついていく様は、テニスに限らず全ての経験に生きるメソッドだと思います。 プロになるという自分の人生を決める大きな賭けに悩み、不安を抱えながらも自分なりの道を探す過程や、周囲のライバルたちが選ぶ未来も丁寧に描かれていて、スポーツに関わる人、すべてに刺さる作品だと思います。
主催
助成