©︎松本大洋/小学館
卓球

ピンポン

松本 大洋
小学館
「才能」と向き合って自分を知って道を拓く青春群像劇

このマンガのレビュー

過去に映画化やアニメ化もされており、松本大洋先生の代表的な人気漫画となっている『ピンポン』。その魅力は松本大洋先生ならでは雰囲気のあるタッチで表現される個性的なキャラクター達、実写映画のような躍動感あふれる卓球シーン、そしてストーリー全体ににじみ出ている現実のほろ苦さ。ページをめくると松本大洋先生ワールドにぐいぐい引き込まれてしまいます。ぜひ未読の方にはこの世界を体感してほしい! よね

「才能」を前に思春期の青少年たちが抱く葛藤と克服の群像劇を、たった5巻でここまで見事に描ききったスポーツ漫画って他にないんじゃないでしょうか。一度は腐ったけれどもはい上がろうとするペコ、心の穴を埋めてくれるヒーローを待ち続ける天才・スマイル、実力も地位も名声もトップでありながら自分の限界に怯えるドラゴン、心が折れた者の代表と言えるアクマ。卓球を超え、スポーツに打ち込んだ者に待つ才能の壁と救済がさまざまに詰まった名作です。松本大洋は画力お化けなので、素人がマネしたくなる卓球のかっこいいポーズもめちゃくちゃあります。 黒木 貴啓

奇才・松本大洋先生による、驚くほど王道のスポーツ青春卓球マンガ。感情を出さず人づきあいを避けるスマイルと才能に溺れて自信たっぷりのペコ。努力ではどうにもならない才能という壁に対峙しながらもがくアクマと、勝利という重責を孤独に耐えるドラゴン。 それぞれ魅力的な登場人物たちが、悩みや挫折を経て自分自身としっかり向き合うようになる姿が、松本大洋先生による独特の絵柄と縦横無尽の表現力で描かれる。試合においては才能がすべてを凌駕しても、卓球に打ち込んできた努力が決して無駄ではない。笑わないスマイルの笑顔がそう言っているようだ。 椎名 ゆかり

中学の部活は卓球部でした。補欠の補欠でしたが、この作品を読んだ時に「この動きこそ卓球だ」と息を呑みました。ボールの動きやキュッ!というシューズの音にも痺れました。主人公とライバルたちの成長物語としても名作だったと思います。 中野 晴行

「卓球」というスポーツを通じて試合運びや選手一人一人のキャラを丁寧に描く作品。淡々としたキャラの会話の中に核心が詰まっています。そして緩急ついた対戦の描写で一気に引き込まれます。登場人物のプレイヤー全員、様々な立場や想いで卓球に向き合い戦う姿はドキュメンタリードラマさながらの迫力。25年経っても色褪せない不朽の名作です。

スポーツというものに触れる中で、絶対に突き当たる「才能」と「挫折」。『ピンポン』では、才能を持ち、負けられないというプレッシャーに押しつぶされそうになる孤独な強者や、人一倍努力はするが才能は無い者など、それぞれの立場を持った5人の高校生が描かれます。才能のないものは舞台に立つことすらできない、ストイックでそぎ落とされた世界だからこそ、少年たちの文字通り血反吐を吐くような努力が、逃げることのできないくらい真正面からどストレートに突き刺さります。そして、その突き詰めに突き詰めきった世界の頂上で、2人の少年は何故笑顔だったのか? 間違いない傑作を是非読んでほしいです。 小林 優介

高校卓球を舞台に、天才・ペコと鬼才・スマイルとする少年たちのアツき戦いを描く本作。主人公・ペコは天才肌で、幼少期からその頭角を現します。地元で敵なしのペコは、自由奔放さに拍車がかかり、やがて部活や練習もサボるようになります。一方で、幼馴染のスマイルは徐々に才能を開花させやがてペコを凌駕するほどの強さを身につけます。対照的なペコとスマイルの姿を通して「才能」について考えさせられる作品です。特に、一度闘志を失うペコが復活を遂げるまでの過程は必見です。 ちゃんめい

卓球のイメージを一新してくれた作品。この作品を機に「卓球」=暗いといったマイナスイメージがなくなったように思う。元卓球部員として、ありがとうと言いたい。他のスポーツと比べて絵的には派手な演出がしにくいのが卓球。しかし、松本大洋は圧巻の表現力で、卓球の奥深さを見事にマンガで伝えた。 倉持 佳代子

地味なスポーツ代表?の卓球。だけど松本大洋が手掛けると、ここまでかっこよくかけるんだ…と唸った作品。白と黒のコントラストが!カメラアングルが!効果音が!カッコいいんです!ペコとスマイル、ドラゴンにアクマ、1000分の1秒の格闘技、卓球をぜひ本作でお楽しみください! 小川 剛

今でもスポーツマンガでもっとも美しい画面だと思う作品。コントラストの高い硬い印象の絵で効果線も控えめでありながら、構図やポージング、表情などで激しい動きやスピード感、迫力を演出する画力は圧巻。ほんの一コマ見ているだけでも息を飲むほどです。 小林 聖

漫画を読むことでカットマンに憧れました。今でも卓球をするときはカットマンです。出てくる登場人物が全員魅力的で、人間臭く恰好いいです。卓球が世界最速の球技であること、人間の反応時間の生理的限界0.1秒に反射時間をどれだけ近づけられるかを競う競技という言葉を卓球の試合を見るたびに思い出します。 井本 洋平

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